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ひとり精神腫瘍学

退院してから外科外来に通院していたが、体のことは相談できるが心のことは誰にも相談できなかった。

精神腫瘍科はなかったし、患者サロンもまだ無かった。

うつ症状を発症するようなことにはならなかったが、明らかに今までとは違う精神状態になっていた。

深淵をのぞいているようだった。

入院しているときは周りにたくさんの人がいて、看護師さんも親身になってくれる。
病気を治す目標がある。

家に帰ればひとりだ。
家族は居るが、ひとりで向き合わなければならなかった。
鏡で自分の顔をしばらく見る事が出来なかった。
鏡の自分と目が合ってしまうと、がんになった自分が現実にいることが分かってしまうから。

感情の波が大きく、道端の花を見ればその美しさに涙が出て、空を見ればその青さに涙が出る。
だから誰かの小さな一言が大きく心に響く。いい言葉ならいいが、それはたいてい心を傷つける。

夫が私のために言ってくれた言葉が素直に受け取れずそれで小さなイザコザニなる。
夫にはがんになった私の気持ちは分からず、私はがん患者の家族の気持ちが分からない。
それでも、相手の立場に立ってみれば夫がどれだけ怖い思いをしていたか今になればよく分かる。

死を近いことと意識しだすといろんなことを考える。

自分がどこから来て、何をするために生まれて、どこに行くのか。

どこから来たのかはわからず、どこに行くのかもわからない。
でも、何をするために生まれてきたのかは見つける事が出来た。それを今もやっている。

がんになると1年以内に病気以外で亡くなる方が多いという。
事故や自殺で。

私も症状的には早期発見とはいかなかったが、こうして8年再発しないで生きている。

だから未来を悲観しないで生きてみてほしい。

がんになってどうしても死にたくないと思って何年か生きてきたが、命あるかぎり生きるということが難しいことだと今は思っている。



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